平和と健康を願う光に社殿と鎮守の森が包まれる「国宝・石清水八幡宮〜祈りのともしび 和の心〜」

国宝・石清水八幡宮の門前町として栄えてきた八幡市

 京都市から南西に車で30分ほどの位置にある八幡市(やわたし)。その歴史は古く、約2万年前には石器が出土し、市域全域に弥生時代や古墳時代の遺跡が点在しています。859年には、平安京を守るため裏鬼門(南西)の位置にあった男山に「石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)」を建立し、門前町として今日まで発展してきました。八幡市の顔ともいえる石清水八幡宮は、2016年に国宝に指定。日本三大八幡宮のひとつに数えられ、現存する八幡造の本殿のなかでも、最古かつ最大規模を誇っています。

 この国宝・石清水八幡宮を舞台に、2021年2月20日(土)〜23日(火・祝)の4夜にわたり、ライトアップイベントを開催。社殿自体をライトアップするのは、今回のイベントが初めてということで、地域の人々の期待も高まっています。

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男山の山頂に鎮座する
「石清水八幡宮」

静かな“ともしび”で石清水八幡宮のブランド力を高めたい

 八幡市の東隣には、国内外から多くの観光客が訪れる寺院「平等院」や抹茶スイーツブームを牽引する宇治市があります。“やわたのはちまんさん”の愛称で長く親しまれている石清水八幡宮を宇治市の平等院のように、もっともっと多くの人に知ってもらいたい。この思いは、長らく地元の人々が抱き続けている悲願です。

 「今回のライトアップ事業では、国宝・石清水八幡宮のブランド力を高め、西からの人の流れを創出したい。また、夜のイベントなので八幡市観光の滞在時間も伸ばしていきたい」と意気込みを語るのは、京都山城地域振興社(以下、お茶の京都DMO)企画総務課長の村田 收さん。今年1月には閉門後の時間を借りて、実際に社殿のライトアップテストが行われました。新型コロナウィルス感染症対策の観点から、限られた運営スタッフのみが初となる社殿ライトアップを目にすることに。

 「闇夜に浮かぶ朱色の社殿の美しさは圧巻で、すごみがありました。山頂に鎮座するという立地が独特の静けさを生み出して、本当にここに神様がいるんだな……と震えるよう気持ちになりました」と語る村田さんの表情からも感動が伝わってきます。

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ライトアップイベントは、
年越しの夜以外に入門できる
貴重な機会になる

協働からアイデアは
生まれ大きくなる

 ライトアップ事業計画は、お茶の京都DMOを中心に複数の企業や団体と協働しながら進められました。社殿に華を添えるのが、京都芸術大学(旧名称:京都造形芸術大学)の学生たちが制作する“祈りのオブジェ”です。学生たちを複数のチームに分け、“祈り”をテーマにコンペを実施。「大人たちが想像できなかったすばらしい作品をプレゼンいただきました。若い世代が考える祈りの表現はとても新鮮で、許されることならば全作品を境内に展示したかったですね」と村田さん。コンペを勝ち抜いた作品は、祈りのともしびを絶やさぬようにやさしく守る大きな手のオブジェ。手は“祈り”や“支援”、“あたたかさ”を想起させるもの。コロナ禍を生きる人々へ祈りを届けたいという気持ちが、作品を通して表現されています。

 また今回の事業で注目なのが、石清水八幡宮へのアクセスをケーブルカーのみに制限したことです。感染症対策として、来場者の動線をどう配置するか?入場人数制限をどう行うか?が肝でした。石清水八幡宮へは、最寄りの石清水八幡宮駅からケーブルカーに乗り参拝に行くことができます。感染症対策やナイトイベントであることを考えれば、住宅地を通る車のルートは制限したいところ。そこで発案されたのが、協力先である航空会社の客室乗務員による車内アナウンスサービスです。「行動が制限され飛行機に乗ることがなかなかできない今、客室乗務員によるあの機内アナウンスをケーブルカーの中で聞いていただければ、旅気分を味わえると思います」と笑顔の村田さん。車での来場はご遠慮くださいと呼びかけるよりも、ケーブルカーで行くほうがおもしろそう!と思ってもらえ、同時に来客の動線コントロールにもつながる企画が誕生しました。

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ケーブルカーを降りたところにある
「男山展望台」。
京都タワーまで見渡せる
絶景スポット

地域へのリスペクトの
気持ちを大切に

 今回の事業計画を通じて、より一層地域の人々を巻き込む重要性や地域への敬意が大切であることを実感したと村田さんは語ります。石清水八幡宮はイベント会場ではなく、長く京都や日本を守護するために存在してきた大切な場所。ビジネス重視の目線ではなく、リスペクトする気持ちを常にもちながら企画を進めてきました。お茶の京都DMOでは、今回の事業をぜひとも成功させ、次年度以降も「祈りのともしび事業」を継続したいと考えています。

 「例えば、子どもたちにランタンを手作りしてもらい境内に展示します。子どもや孫が作った“ともしび”を眺めに家族みんなが参拝に訪れる。親から子へ世代を超えて祈りの気持ちが継承され、世界平和につながるかもしれませんね」 親子で闇夜に浮かぶ荘厳な社殿に参拝すれば、明るい未来が見えるかもしれません。

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静かなともしびが
境内をやさしく包む

写真提供:(一社)京都山城地域振興社(お茶の京都DMO)

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