チャーター船で瀬戸内の島々を巡る
「新スタイル・Setouchi Island Hopping」

大小の島々が連なる
瀬戸内の美しさ

 「瀬戸内の一番の魅力は多島美」。そう言うのは、玉野コミュニティ・デザインの京谷潤さん。瀬戸内海には大小1000ほどの島が浮かび、自然が織りなす美しさは唯一無二。「太平洋に出て水平線が見えるのとはまったく違う、海にいながらいろいろな島々が見える景観は、日本ではほかにはないものだと思っています」

 最近は、12の島々と2つの港を会場にしたトリエンナーレ「瀬戸内国際芸術祭」や作品が点在する“アートの島”として注目を集める直島や豊島など、アートという観光素材で瀬戸内への旅行者は毎年増えています。玉野コミュニティ・デザインが拠点を構えるのは、瀬戸内海に面した岡山県南部の港町、玉野市。市内にある宇野駅や宇野港は島々への玄関口です。しかし、残念ながら駅や港は島々へ移動するための通過点になってしまっているのが現状。そこで、玉野市を起点に貸し切りのカタマランヨットやクルーザーで島々を回り、市内に観光客が滞留、回流できる13の“島旅”モデルコースを作ることになりました。

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withコロナ、afterコロナの
旅スタイル

 「穏やかな内海はクルーズをするのに恵まれた環境です」と京谷さん。巡るのは東備讃地区といわれる岡山県、香川県の島々。島それぞれの魅力を伝えたいと、コースでは知名度の高い島だけでなく、まだまだ知られていない島も訪れます。「3年に1度の『瀬戸内国際芸術祭』開催時は、いくつかの島を回るツアーが敢行されますが、会場ではない島へは行きません。芸術祭以外の年に通年でエリア全体を回るものも私たちの知っている限りではありません」各島間は定期船が運航していますが、便数が限られているのが難点。好きな時間に移動でき、効率よく回れるというのは、チャーター船だからこそのよさでもあります。

 ヨットとクルーザーの定員は10名ほど、しかも、1日1グループのみなので、密を回避しながらの旅行が可能になります。コースのなかには、無人島を貸し切りにするものも。「もともと島全体が貸し切りのキャンプ場になっているくじら島。密を避けられるものポイントですが、キャンプがアート以外の瀬戸内の楽しみ方として新しい旅のスタイルになると思っています」

 また、食の魅力を伝えるべくメニューも開発中。船上では瀬戸内の海鮮や岡山県特産の肉や野菜を使った食事、無人島キャンプでは海鮮バーベキューと、旬の食材をふんだんに使った「島食」を楽しめるそうです。

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島々の魅力をもっと広く伝えたい

 モデルコースの造成にあたり、食事や宿泊を提供してくれる島々の事業者と連携体勢を構築できたことがよかった点。今後の取り組みはふたつあると京谷さんは付け加えます。「今回のモデルコースではすべての島が商品にはなっていません。ほかにも魅力的な島があるので、その島の事業者さんとも連携できる体制を作り、商品の幅をもっと広げていきたいと思っています。もうひとつは、先にあるインバウンド。もともと直島などは海外のお客様が多いので、アート以外の魅力を伝えられるようなプロモーションや販売をしていきたいですね」

 モニターツアーに参加した旅行会社からの評価は上々。今まで日本ではヨットで回るツアーがなかったと歓迎されています。「ヨットやクルーザーで海を回るというのは、動画や写真だけでは伝えにくいところがあります。実際に乗って、体感することでそのよさをわかっていただけると思うので、ぜひ一度いらしていただきたいです。穏やかな海の上で、のんびり景色を眺める時間、何もしない時間も楽しんでください」そんなゆったりとした旅のスタイルもこれからは注目されそうです。

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写真提供:一般社団法人 玉野コミュニティ・デザイン

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