自然・歴史・食文化。恵まれた環境を活かす
新しい滞在型観光「ワーケーションリゾート・鶴岡」

新しい滞在型観光の促進に
取り組む必要性

 山形県西部、日本海に面した鶴岡市は、城下町の面影を残す街並みや修験道の聖地・羽黒山などで知られる庄内地方の田園都市です。三方を山々に囲まれた自然豊かな環境のもと、季節の多彩な食材と風土が息づく独自の食文化において、日本で唯一「ユネスコ食文化創造都市」に選定されています。

 そんな鶴岡には、水田のなかに浮かぶように立つ「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE (通称:スイデンテラス)」があります。日本有数の米どころ・庄内を象徴する田園風景と調和した木の温もり溢れるホテルです。2018年の開業から注目を集めていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、変化していく生活様式にあわせた旅行形態を検討する必要に。Withコロナ時代においての新しい滞在型観光“ワーケーションリゾート・鶴岡”として、スイデンテラスを運営するヤマガタデザインリゾート株式会社と株式会社ANA総合研究所を筆頭に実行委員会を設立し、本事業の取り組みがスタートしました。

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庄内平野の水田に佇むスイデンテラス。
滞在環境の充実を目的に施設改装を行い、
2020年8月にリニューアルオープンした

鶴岡の魅力を発信する
体験アクティビティ

 「かねてからスイデンテラスでワーケーションの取り組みができないか検討していました」そう語るのはスイデンテラスセールス&マーケティング担当の丹羽陽一さん。日本海、出羽三山、田園の自然環境、城下町として繁栄した歴史、そして食文化。もともとあるこれらの魅力を「スイデンテラス」を拠点に、どうワーケーションに繋げていくか、仕事で訪れたお客様にバケーション部分をどのように楽しんでもらえるか。ANA総合研究所の知見も加わり、地域を面として捉えることで、鶴岡全体にワーケーションとしての可能性を感じたそうです。

 「コロナ禍ということもあり、車に乗ったまま田んぼのなかでアートや映画を見るなど、さまざまなアイデアが集まりました」と丹羽さん。メインテーマを“田園とアート”として、田園に佇むスイデンテラスに現代アート作品を展示し一般公開するとともに、アート、ビジネス、文学にちなんだトークセッションやワークショップなどの「田園・アート・ナイトイベント」、日中はベビーリーフ収穫体験や山伏と行く羽黒山参拝、日帰り湯野浜温泉、松ヶ岡のワイナリーでカルソッツ(焼きネギ)体験など、鶴岡ならではの魅力を感じられる地域体験アクティビティを実施しました。

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現代アート作品のひとつ、鬼頭健吾《untitled (hula-hoop)》(スイデンテラス2階ロビー)

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ぶどうの剪定枝で焼くカルソッツ(焼きネギ)体験(ピノ・コッリーナ・ファームガーデン&ワイナリー松ヶ岡)

実証調査で
あらためて気付いたこと

 実施期間は昨年12月。「コロナ禍で開催できるのか、そもそも人が集まるのか不安はありましたが、期待のほうが大きかった」と丹羽さんが話す通り、コロナ対策万全で実施されたこともあり、安心して滞在できたという声が多く上がりました。「スイデンテラスは温泉やフィットネスもあり、Wi-Fiも完備しています。元々ビジネス利用も多いホテルです。車で15分走れば日本海、そして山々もある。気分転換に水田を散歩することもできる自然豊かな環境です。実施調査を通じて、鶴岡はワーケーションに適した場所である、と改めて気づきました」

 「アクティビティがあることで、参加した人と自然に交流が生まれ、ワーケーションの未知の高揚感を実感した。都心からのアクセスの良さも含め、鶴岡のマルチな魅力を遠慮せず全面にPRしてほしい!など参加された方々からうれしい声をいただきました」「12月の幻想的な雪景色のなか、羽黒山参拝できたのは特別な思い出になったと伺いました。本事業と鶴岡の四季がマッチングしましたね」と微笑みながら語るANA総合研究所の尹聖玲さんは、コロナ禍の苦しい日々のなか、人々が求めているリフレッシュや癒やしを含む、新しいワーキングスタイルがここにあると思ったそうです。

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雪に包まれた羽黒山五重塔。
冬ならではの美しい風景。

地域一帯となって
観光地づくりを目指す

 「実証調査のなかで、何時に会議がある、仕事の締め切りがあるお客様も。アクティビティ体験後、早急に客室に戻る必要があるときは送迎をしていました。今後、例えば、田んぼのなかでもそのまま仕事ができるなど、お客様個人の希望に添えるような対応を考えていかなければと思いました。夏なら海でヨガ体験をして、波の音を聞きながらその場で仕事をするとかもいいですよね」と思いを語る丹羽さん。

 世界的建築家・坂茂氏が設計したこともあり、すでに認知度が高いスイデンテラス。ホテルを目当てに訪れる宿泊客も多く、鶴岡はほかに何かありますか?と聞かれることもあり、鶴岡全体のさらなる魅力をどう知ってもらうかを今後の課題として「スイデンテラス単体ではなく、地域一帯となって構築していき、体験アクティビティを増やすことで、ワーケーションリゾート・鶴岡、そして観光地としての鶴岡の認知度をあげていきたいと思います」

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鶴岡の自然や文化を体感しながらの
リモートワーク

写真提供:ワーケーションリゾート・鶴岡 実行委員会

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