食の魅力と利便性の向上で地域を活性「フルーツのまち紀の川周遊化構想」

日本屈指の“フルーツ王国”紀の川市

 和歌山県の北部に位置する紀の川市。市名の由来にもなっている紀の川が中央を流れ、豊かな水と温暖な気候に恵まれています。こうした自然環境がもたらす肥沃な土壌で多彩な農作物が生産されており、特に果物の生産量は全国でトップクラス。もも、かき、はっさく、キウイなど、1年中いつでも高品質な旬のフルーツが楽しめる“フルーツ王国”です。

 そんな紀の川市を訪れる多くの観光客のお目当ては、もちろんフルーツ。「約半数の観光客が紀の川市で産地直売所を訪れているというデータがあります」と教えてくれたのは、本事業を進行する一般社団法人紀の川フルーツ観光局の南條青志さん。直売所を起点に市内を巡り、地産の食を満喫してもらうためのさまざまな施策に取り組んでいます。

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コロナ禍で再確認した最大の観光資源

 数ある直売所の中でも年間70万人以上もの観光客が訪れるというのが、関西圏で最大規模を誇る「めっけもん広場」。ネコのたま駅長とユニークな電車で知られ、直売所と肩を並べる観光スポットである和歌山電鐵貴志駅は、メインの客層がアジア圏からのインバウンドだったこともあり、コロナ以降閑散とした状況に。そんな中でも、めっけもん広場に客足が絶えることはありませんでした。「フルーツをはじめ、紀の川の農作物がそれだけ魅力的だということ。最大の観光資源であり、ここをもっと伸ばしていけばよいのだと確信しました」と南條さんは話します。

 以前より課題であったのが、大半のお客様が車で直売所に来訪し、買い物を済ませると市内に留まることなくすぐに帰ってしまうということ。また、「データ分析により、他のまちで飲食をしている方が多いこともわかりました」。加えて、コロナ禍にあっては密を避け、個人で旅行するスタイルが求められますが、そこもこれまで手を打つことができていなかったところだといいます。

 そこで、個人旅行客をターゲットに、市内を周遊しながら飲食店に立ち寄ってもらうための仕掛けとして、地元のフルーツ・農作物を使ったメニューを提供する店舗を巡る「紀の川フルーツスタンプラリー」を企画。地域の食材の魅力を発信し、ひいては地産地消を促進していこうというねらいがあります。また、これまで貴志駅をはじめとする鉄道駅からの交通手段が徒歩かタクシーに限られていたことから、周遊化を促すための二次交通としてシェアサイクルを導入。さらに、近隣の観光地からのアクセスを強化するため、車で1時間半ほどの場所にある世界遺産・高野山~紀の川のループバス運行の実証実験も行うことにしました。

フルーツメニューを滞在の楽しみに

 スタンプラリーには市内20店舗が参加し、1月15日(金)からスタート。「現状を不安に思っているお店の方は多い。1店舗では大きいことはできないけれど、協力し合ってできることがあるのは嬉しいと喜んでいただいています。1人でも多くの方に、紀の川にこういう店があるということを知っていただくだけでも意味があると思っています」と南條さん。フルーツメニューを扱うお店の層を厚くするべく、レシピ開発にも取り組んでいます。料理教室の協力でレシピ動画を撮影し、現在DVDを作成中。完成次第各店に配布し、メニューの拡充に役立ててもらう予定です。「直売所への買い物ついでにフルーツ料理を食べていこう。食べに来たついでに買い物もしていこう。そんな循環が生まれることを目指します」

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ニーズをくみとり、次のステップへ

 今回の一連の事業は、感染リスク低減の観点から非接触化を図り、モバイルを活用して行いました。そのため、収集したデータから観光客の実際の動きを割り出すことが可能に。「今回のデータを今後の戦略に活かしていきます。そして、継続的に取り組みの経済効果を測り、しっかり示せるようにしていきたいと思います」と南條さんは力強く語ります。スタンプラリーについては、どのような支援を各店が望んでいるのかヒアリングを行い、店側のニーズも把握したうえで、さらにコンテンツを充実させていくそう。シェアサイクルとループバスについても、アクセス整備の重要性を改めて認識。今回の実績をもとにブラッシュアップし、有効な施策を打ち出していく予定です。

 公式LINEアカウントも開設し、情報発信の強化にも努める紀の川フルーツ観光局。地域の方々と連携し、チャレンジは続きます。

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写真提供:一般社団法人紀の川フルーツ観光局

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