あの熱気を再び!ニューノーマル時代に向けた「阿波おどりネクストモデル」

街全体が活気に溢れる、徳島の伝統芸能

 徳島県徳島市で毎年8月12日から15日の4日間に渡り開催される「阿波おどり」。華やかな衣装に身を纏い、鉦・三味線・笛・太鼓の演奏に合わせて850以上の連(れん=グループ)が隊列を組んで踊る、徳島県発祥の伝統芸能です。

 国内外から100万人以上の観光客が集まる日本有数の夏祭りですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、昨年は戦後初の開催中止に。「街の灯火が消えたようだ」など市民から悲しみの声が多く寄せられたこともあり、開催中止を悲しんでいるだけではだめ。400年以上の歴史ある伝統の灯火を絶やさぬように、感染症対策のあり方などを検証して、次年度の開催につなげる実証イベント「阿波おどりネクストモデル」を企画・実施することになりました。

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秋晴れのなか開催された「阿波おどりネクストモデル」。
客席は3席分空けて、観客間の距離を前後左右1m以上取った

安心・安全な祭りの環境を作り上げる

 開催中止となったことで「関連事業者の3割が廃業を検討していると報道されるなど、地域経済に与えた影響は計り知れないものとなりました」と語るのは阿波おどり実行委員会事務局の川口博史さん。さまざまなイベントの中止が相次いでいるなか、出演者や観客、地元の方に本事業の趣旨が受け入れられるか不安でしたが、実証イベントが成功すれば次年度の開催に向けた大きな一歩となる、さらに他都市で開催されている阿波おどりをはじめ、そのほかのイベントも再開に向け、機運が高まるのではと期待をもって進めました。

 2020年11月21日・22日の2日間、藍場浜公園で実証イベントが開催されました。本来の阿波おどりは街なかで交通規制を行い、至るところで自由に踊れる場所が設けられていますが、実証調査ということもあり、会場は藍場浜公園のみ。公園内への入場人数を2000人以下に制限し、約5000人を収容できる桟敷席の客席も890席に削減しました。デジタルチケットの導入や入場前に検温、マスクは必須、観客と踊り手の距離を確保するなど、さまざまな感染症対策が施されました。「いかに素晴らしい公演であっても、安心できない環境のもとでは観客も心から楽しむことはできないと思います」と川口さん。

 また、阿波おどりは踊り手の集団美が大きな魅力です。踊り手同士の距離を取り、向かい合うようなパフォーマンスや掛け声はできる限り控えるなど、本来のパフォーマンスが発揮しにくい状況だったと思います。コロナ禍の厳しい環境下での練習も含め、「踊り手のみなさんの感染症対策への協力も大きな力となりました」

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阿波おどりの基本、隊列を組んで、前に向かって踊りながら進む
「流し踊り」も距離を保って披露された

前向きな取り組みが今後に活かされる

 来場者に対して行ったアンケートでは、8割以上が感染症対策について安心できたと回答がありました。「現時点で考えられる、あらゆる感染防止対策を講じた結果となり、来年度の開催に向けて手応えを得ることができました」と川口さんは語ります。ほかにも「主催者が前向きな取組みをしてくれていることに感謝します」「多くのイベントが中止になるなか、前向きな取組みに元気をもらった」、踊り手からは「誰かに見てもらえることで、一歩前進できた気がします」などうれしい声をいただきました。

 座席を設けて事前に予約を受け付ける演舞場では、感染症対策を講じれば開催可能であることが実証できましたが、本番を見据えると、阿波おどりならではの魅力をどこまで引き出せるのか今後も検討する必要があります。

 “手を挙げて、足を運べば阿波おどり”といわれるように、見るだけでなく、誰でも気の向くままに踊って、楽しむことができるお祭りですが、自由に参加して楽しんでもらうことが難しい状況にあります。「ニューノーマルの時代に向けて、新しい阿波おどりの形を構築しつつ、いつの日か、またみなさんで一緒に輪を組み、自由に楽しく踊れることを信じて取り組んでいきたいです」

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会場が華やかな空気に包まれる女踊り

写真提供:阿波おどり実行委員会

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