光と音の演出が雪化粧をまとった温泉街を照らす「歴史と未来を灯す、幻想空間。〜銀山温泉 千年廻廊〜」

冬にこそ訪れたい、大正ロマンの郷愁を誘う山間の温泉郷

 山形県尾花沢市の中心部から車で30分ほど。日常から遮断されたかのように静謐な山間の地に佇み、川の両岸に大正末期から昭和初期にかけて建てられた木造多層建築の旅館が連なる銀山温泉の町並み。その様子はどこか懐かしさを感じさせ、“浴衣で歩きたいノスタルジックな温泉街”の代名詞としても知られています。

 山桜色に染められた春、清流の水音が心地良く響く夏、そして艶やかな紅葉に彩られた秋といずれの景色も絵になる美しさですが、しんしんと降る雪を眺むる“冬の銀山温泉”はまた格別。ガス灯の明かりに照らされた銀世界が一層旅情を掻き立てます。 そんな冬の銀山温泉の町を舞台に、去る12月10日より7日間に渡り夜間のライトアップイベントを開催。コロナ禍に沈む人々の心に温かな光を灯し、大きな注目を集めました。

イメージ

幻想的な光の演出で“夜の銀山温泉”の魅力とブランド価値向上へ

 「歴史伝承×未来への祈り」と題し、イベント期間中は温泉街を6つのエリアにゾーニング。それぞれに〈銀山温泉の誕生〉〈苦難と復活の歴史〉〈届け未来への祈り〉といったコンセプトを設け、温泉街入口の「足湯」付近から「白銀の滝」までをプロジェクションマッピングや映像、ライティングで彩りました。なかでも、〈未来への希望〉を表現した「白銀の滝」では水面をスクリーンにした滝と光の壮大なパレードが来場者の目を奪い、明日への希望を彷彿とさせる幻想的な輝きに思わず涙ぐむ姿も見られました。 こうしたイベント事業の背景について、主催者である銀山温泉組合の脇本さんは次のように語ります。

 「2011年の東日本大震災以降、私たち銀山温泉組合は一貫して“日本人に愛される観光地づくりとは何か”を考え取り組んでいます。とはいえ、小さな温泉街ですから実現できること・できないことがあり、なかなか思い描いた構想を形にできずにいました。そうしたなか、コロナ禍に突入し昨年の4〜5月は約2カ月に渡って街全域が一時休業することに……。観光客の姿がまったく見えなくなった町の様子に危機感を覚え 、今できることから始めなければいけないと改めて実感したのです」。

イメージ

コロナ感染症拡大防止のための2つの取り組みを実施

 「新しい生活様式」の実践を踏まえた今回のイベントでは、銀山温泉として初の試みとなる日帰り客を対象とした入場チケットの完全予約制を導入。温泉街への入場者数を1日100人までとし、いわゆる“3密”の発生リスクを抑えることに注力しました。さらに、観光案内センター「銀山大正ろまん館」から温泉街入口までシャトルバスによる送迎サービスを実施し、来場者の体調確認や動線確保を徹底するといった安全対策も展開。こうした取り組みが功を奏し、7日間のイベントは無事に終了を迎えることができました。そして何よりも、来場者からの「ありがとう」の声に脇本さんは勇気づけられたといい、安堵の表情を浮かべます。

イメージ

持続可能なコンテンツの実現と愛される観光地を目指して

 今回のイベント事業を通じて、確かな手応えと次への意欲を感じているという脇本さんと銀山温泉組合の皆さん。次回は開催期間を延ばし、温かな季節に実施することも視野に入れているのだとか。また、これから銀山温泉を訪れる観光客に向けて「お越しの際はご自身の体調と安全管理に十分に行っていただき、温泉街を流れる銀山川のようにゆったりとした充実した時間を過ごしてくださいね」とコメントを寄せてくれました。

イメージ

写真提供:山形デスティネーションキャンペーン推進協議会

コラム一覧へ