楽しく漁業を学び、旬のおいしさを味わう「漁師町“越前”のお魚プロジェクト!」

カニだけじゃない! 魚もおいしい越前町

 福井県の嶺北地方西部に位置する越前町は、漁業とともに栄えてきた港町。特に、ズワイガニのなかでもトップブランドの「越前がに」の水揚げ量は県内随一で、シーズンになると多くの人が訪れます。「越前町は越前がにの町としては有名ですが、魚はあまり脚光を浴びていません。年間を通じてさまざまな魚が穫れるんですよ。そんな情報発信ができていない状況を変えるためにも、魚に焦点を当てました」と言うのは、越前町観光連盟の駒恵理子さん。年々深刻化する魚離れの解消と水産業の次世代への伝承、そして、今後の越前町の“一年中おいしい魚が食べられる町”としての発展を目指し、「漁師町“越前”のお魚プロジェクト!」の開催を決めました。

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子供たちの世界を広げる体験プログラム

 実施したのは、「ホンモノの漁師と触れ合う漁船体験と魚さばき体験」「獲れたてピチピチ!越前の魚つかみ取り体験と魚さばき体験」「あなたも今日から競り人!体験と魚さばき体験」の3つのプログラムです。

 漁船体験では、参加者は実際に船に乗り、底引き網漁師から漁や船上の生活についての話を聞きました。普段接する機会のない職業を肌で感じた子供たちは興味津々で、たくさんの質問があがったそう。「漁師になりたいと言っていたお子様もいらっしゃいました。新しい職業観の気づきを生むことができたのではないかと思っています」

 親子での参加が多く、魚さばき体験では「子供の成長を感じることができました」という声も。「危ないからお子様に包丁を持たせたことがないというご家庭がほとんどだったのですが、実際に魚を三枚おろしにして刺身で召し上がっていただきました。『やってみたら子供でもできるんだと実感しました』というお声もいただいています」最近ではスーパーで切り身の魚を買うことが多いため、魚のつかみ取りに参加した子供の大半が生きた魚を捕まえるのもさばくのも初めての経験。「捕まえて、さばいて、食べる」という一連の食の流れを体感できる食育になりました。

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魚のつかみ取り体験

SDGsの取り組み人口を増やしたい

 プログラムでは、SDGsに関するクイズも実施。「SDGs(エスディージーズ)」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年に国連サミットで決められた2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。数年前から教育旅行の誘致に力を入れている越前町では、SDGsへの取り組みを課題にしています。

 「2030年のゴールとその先の未来のためにも実践していただきたいのです」と駒さん。まずはクイズを通してSDGsついて考えてもらい、実際にどのような行動をすればいいのかも説明しました。今回は小さい子供の参加が多かったため入門編の内容でしたが、今後は中学生や高校生向けにより詳しいものも作成し、次年度以降の教育旅行への提供を目指しているといいます。

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徹底した新型コロナ感染症対策

 駒さんが「知識を得るところから対策までしっかりできたことがよかった」と言うのが新型コロナウィルス感染症対策です。越前町観光連盟では、福井県の感染症対策の専門家でもある福井大学教授の監修を受け、マニュアル作成や消耗品購入を実施。事前の体験施設視察、実施当日の導線確認も行い、細かいところまでリスクがないかをアドバイスしてもらいました。「参加される方はもちろんですが、私たち主催者側にも不安があったので、実施するからには感染症対策の徹底をしたかったのです。今後、ほかのツアーやイベントにも応用できるので、よりしっかりと学んで実践したいと思い、先生にご協力いただきました」参加者からは「たくさんのイベントが中止になり、子供たちに我慢をさせることが多いコロナ禍で、安心して子供に体験をさせることができました」という感想もあったそうです。

 

県民からおすすめしてもらえる町へ

 今回は、withコロナ期における新たなターゲット層の開拓やマイクロツーリズム(自宅から1時間から2時間圏内の地元や近隣への短距離観光)の検証ということもあり、誘客は福井県内に限定。なかには、越前町でカニ以外にも魚が獲れるとは知らなかった、遊漁船を使った魚釣りやイカ釣り、漁船クルーズなど、観光連盟の取り組みを初めて知ったという参加者もいて、どのプログラムも県民にしっかりと町の魅力をアピールする場となりました。

 「マイクロツーリズムを通して越前町のいいところを発信できました。今後、県外の方がいらっしゃった際には県民の方が『越前町に行くといいよ』と伝えていただけるような機会になったと思います。個人的には『子供の成長を見ることができてよかったです』『お魚おいしかったよ』と喜んでいただけたので、とてもありがたいですね。これからもこのようなプログラムを続けていきたいと思います」と駒さんは意欲をのぞかせました。

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食事風景

写真提供:一般社団法人 越前町観光連盟

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